陶芸教室などである程度経験を積んでくると土や釉薬に懲りたくなってくるものです。この本はそうした方におすすめの一冊といえそうです。
前半では全国各地の様々な粘土を実際の作陶例を写真で示しながらその特徴を詳しく説明しています。たとえばこの土はロクロには向かないとか、志野釉と相性がいいとか、あるいはどの程度収縮するのかなど、実際に作陶する際にとても参考になる情報が記されています。さらにその粘土の値段と販売元の連絡先も書いてあって、写真にあるのと同じ粘土を手に入れることができるので、買ってみたら別の会社のもので焼き上がりが違う、ということもありません。
後半では釉薬の材料について詳しく解説しており、たとえば長石だけでも30種類以上も紹介していて、それぞれの特徴が記されています。その材料がどのような釉薬に向くのかなどのコメントもあり、材料選びの参考になりそうです。残念ながらテストピースがないので、それぞれの材料の違いを視覚的に捕らえるのは難しいです。
成形方法や釉薬の調合などの書籍はたくさん出版されていますが、材料に的を絞ったものはほとんどないので、個人だけでなく、陶芸教室などでも一冊あると重宝しそうです。